2009年12月31日

中国副主席来日 政治利用の正当化許すな

 中国の習近平国家副主席が来日し、15日に天皇陛下との会見が行われる予定だ。鳩山由紀夫首相はこれに先立ち、「日中関係をさらに未来的に発展させるために大変大きな意味がある。判断は間違っていなかった」と述べた。

 だが、首相の判断はやはり間違っていると言わざるを得ない。

 習氏は中国共産党内での序列は6位だが、胡錦濤国家主席の有力後継候補とされる。まだ日本になじみが薄く、天皇との会見は、習氏の存在を日本に印象づけたい中国の意向に沿ったものだ。それは明らかに天皇の政治利用であり、会見を求める中国の要求をきっぱりと拒否すべきだった。

 しかも、中国が会見を要請したのは11月下旬だ。1カ月前までとされる申請期限を過ぎていた。その「1カ月ルール」は6年前、前立腺がんの手術を受けた陛下の健康を考慮して、厳格に守られてきた。これを無視し、中国の要望に沿った特例の会見を宮内庁に設定させた鳩山内閣は、二重の間違いを犯したといえる。

 特例の会見が設定された背景には、民主党の小沢一郎幹事長側から首相官邸サイドへの働きかけがあったとも伝えられた。

 小沢氏は14日、この働きかけを否定するとともに、「陛下の体調がすぐれないなら、優位性の低い(他の)行事はお休みになればいい」と述べた。陛下に対し、礼を失していないか。政党の幹事長が指図することではない。

 小沢氏は、政治利用の懸念を表明した羽毛田信吾宮内庁長官について「内閣の一部局の一役人が内閣の方針についてどうこう言うなら、辞表を提出してから言うべきだ」とも述べた。いずれも、天皇の政治利用を正当化する極めて不穏当な発言ではないか。

 羽毛田氏は「心苦しい思いで陛下にお願いした。こういったことは二度とあってほしくない」と述べた。羽毛田氏には、もう少し覚悟をもって官邸と対峙(たいじ)してほしかったようにも思われる。

 首相の判断に対し、与野党から批判の声が相次いでいる。「天皇陛下の政治利用と思われるようなことを要請したのは誠に遺憾だ」(民主党の渡辺周総務副大臣)、「今からでも遅くない。中国側に取り下げてもらうよう要請すべきだ」(安倍晋三元首相)。

 鳩山首相はこれらの声にもう一度、謙虚に耳を傾けるべきだ。
posted by hiro at 11:44| 大手新聞社説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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